分院展開が失敗しやすい理由・・・

 歯科も医科も、分院展開しても、一時的には売り上げが上がっても、最終的には債務超過で、破産することがあります。1年に数件は、ニュースになりますよね。

 今回は、分院について意見を述べたいと思います。

 開業して順調に経過し、利益がそれなりに出てくると、税金の多さに辟易します。そうすると、皆、節税を考えます。人によっては、法人化を考えますし、また、人によっては、分院を考えることがあると思います。

 法人化で、節税もできますし、また、信頼度アップにつながります。信頼度というのは、患者さんに対してではなく、借り入れを行う銀行や税務署や業者に対してです。ですので、常勤のスタッフを一定数以上雇って、売上がそれなりにあるクリニックは、法人成必須ですね。

 分院については、皆さん、いろんな考えがあると思います。新たに院長を雇って、週1回は自分が診察をするようにするとか、パートタイムのドクターを数人雇って、勤務してもうとかでしょうか。最終的に、自分が診療をせずともクリニックの利益が出れば、自分は経営の事だけ考えてやっていけば良いので、最高ですよね!

 ロバートキヨサキは、働き方について、従業員(employee)、自営業者(self-employed)、ビジネスオーナー(business owner)、投資家(investor)という4つのクワドラント(Quadrant)に分類しています。クリニックの院長の場合、残念ながら、自営業者のSなので、自分が働かなければ、利益が出ないのです。分院展開して、他のドクターが利益を出してくれるのであれば、SがBに変わるのです。私も可能ならば、BかIが良いです。


 しかし、分院展開は、ズバリ、ハイリスクと私は考えます。


 冷静によく考えみたらわかるものなのでしょうが、分院のドクターを雇う場合、大学にも残らず、関連病院も行かず、一匹狼みたいな人を探してくるわけですから、いつなんどき、辞めるか分かりません。辞めてもらいたくないからということで、破格の給与を出したら、雇われ院長は、「これだけ給与がもらえるのであれば、自分で経営してみたい!」と考えるのではないでしょうか。

 特に医学部・歯学部を猛勉強の末に合格した人は、中学・高校でも、誰よりも成績が良かったと思いますから、トップを目指す気持ちが少なからずあるわけです。要するに、一国一城の主になりたいと思う人が多いということです。

 せっかく、分院長を雇用しても、数年後には辞表提出ということになれば、その先生を信じて診察に来ている患者様も困りますし、後任がすぐ決まるかも分かりませんよねぇ。かといって、パートタイマーでドクターを雇うのも、結局、パートのドクターって、できるだけしんどくないように働いて、さっさと仕事して帰りたいと思うのが普通ですから、経営者の思うようには働いてくれません。

 下手したら、その分院の近くで、元分院長が新規開業されるという裏切り行為をされるかもしれませんよね。

 当初から、希望すれば「のれん分け」ということを盛り込んで、分院長と契約していれば、まだ痛手は無いかもしれませんね。最後には、有償譲渡すれば利益になりますから。

 当院の近くでも、手広くやっている耳鼻科のドクターがいます。小児科や内科・心療内科などの分院展開をしていますが、成功しているようです。素晴らしいリーダー・理事長だと思います。私には、その器が無いし、度胸もありませんけども・・・。

2025年06月04日